結納品とは?

結納品として贈る熨斗(のし)、末広、高砂、するめ、昆布などには末長く、幸せに暮らせるようにと言う思いを込めた、それぞれの意味があるのです。

結納品はそれぞれ、末長く幸せにと言う思いを込められたものばかりです。
まず、基本的な品は下記の5品目です。

  • 熨斗(のし)
  • 末広(すえひろ)
  • 帯地料(結納金)
  • 柳樽料(やなぎだるりょう)
  • 松魚料(まつうおりょう)

さらに婚約指輪、高砂、するめ、昆布などが一般的です。
地方によっては白生地、化粧品、お茶などの現物を加えるところもございます。

基本的なもの

熨斗(のし)


熨斗「あわびのし」と言って、アワビを熨して乾燥させて
保存食としたものです。

昔はお祝があると、このアワビとお酒を持参して
祝宴を催したのでしょう。

熨斗

今もアワビは高価ですが、昔も大変高価だったようです。
それで、お祝にはアワビを持参したようです。

また、あわびは不老長寿の意味もあり、おめでたい品なのです。
その昔、秦の始皇帝が家来に、不老長寿の薬を探すように命じ、
その薬がアワビだったところから、
長寿の象徴として、お祝には欠かせない物となりました。
今では形だけとなって、祝儀袋の右上についている黄色のものです。

「熨斗の包みにお金を入れるのですか?」というお問合わせをよく頂きますが、
熨斗が入っているので、お金は入れません。

末広(すえひろ)


末広扇子のことです。

扇子の形から
【末には広がって、繁栄を極める】と言う意味があり 、
縁起の良いものとされてきました。

末広

結納には一対として二本入れますので、
当店では女性用と 男性用の二本の扇子を入れています。
お店によって、男性用の白扇二本の場合もあります。

「末広の包みにお金を入れるのですか?」というお問合わせもよく頂きますが、
扇子が入っていますので、お金は入れません。

帯地料(おびじりょう)


いわゆる結納金を入れます。

帯地料

昔は花嫁衣装を贈ったのですが、
これが次第に「このお金で花嫁衣装を買って下さい」という意味の
お金を渡すようになりました。

その名残で、結納金を入れる祝儀袋には「帯地料」「小袖料(こそでりょう」、「御帯料」などと書きます。

柳樽料(やなぎたるりょう)


柳樽とはお酒を入れた樽です。
昔はお酒を持参したのですが、今ではお金を包みます。

柳樽料

松魚料(まつうおりょう)


松魚とは鰹節です。

鰹節がおめでたい松の幹に似ているところからこのように言われています。
酒の肴として、お魚を昔は持参したのですが、今ではお金を包みます。

松魚料

酒肴料(しゅこうりょう)


柳樽料と松魚料を一緒にしたものです。
結納品は割り切れない奇数の品数を贈るため、偶数になる場合に、
お酒と肴を一緒にして、酒肴料として、贈ります。

目録

高砂(たかさご)


おじいさんとおばあさんの人形のことです。

時代劇の結婚式の場面で【たかさごや~ 】と歌い始めるところを
見かけたことがあると思います。

これはお能「高砂」の謡い(うたい)で、
このお能におじいさんとおばあさんが登場します。

このおじいさんとおばあさんは神の化身で、イザナギ、イザナミ とも言われ
相生(あいおい)の松によせて夫婦愛と長寿を愛でる、大変おめでたいお能なのです。

この理想の老夫婦の姿にあやかるよう、結婚式で謡ったり、
結納の品にも使われるようになったのです。

さらに、おじいさんとおばあさんが持っている
熊手(くまで)と杉箒(ほうき)も縁起物です。
おじいさんは熊手(くまで:九十九まで)を持ち、寿福の象徴である松をかき集め、
おばあさんは箒(ほうき)を持って掃く(はく:百)、
厄を祓い福を招き寄せることを表しているのです。

高砂人形 満 木目込み

相生の松(あいおいのまつ)とは黒松と赤松が一つの根から生え出た松です。
松は永遠・長寿を象徴し、
相生の松は特に縁結び・和合・長寿の象徴とされています。

相生の松とよばれる松は日本各地に点在しますが、
特に兵庫県高砂市の高砂神社の松が有名です。

ここから、おじいさんとおばあさんの人形が【高砂】と呼ばれるようになり、
こんなにも、縁起の良いものだから結納には欠かせないものとなりました。

指輪


婚約指輪です。 目録には「優美和」 「結美和」などの当て字を使います。

指輪の他、ネックレスやイヤリングなどを贈る方もございます。
ネックレス → 久美飾 (くびかざり)
イヤリング → 美々飾 (みみかざり)  などの当て字を使います。

昆布・スルメ


昆布   → 子生婦 (こんぶ)
スルメ  → 寿留女 (するめ)  などの当て字を使います。

昆布スルメ

昆布は強力な繁殖力があるところから子宝に恵まれるように、
また 「よろこぶ」 の 「こぶ」と通じるところから
縁起が良いものされています。

スルメは長期保存ができることから「末永く幸せが続く」という説や、
お金を「お足」といい、足の多いスルメは縁起が良いとする説などから
結納に使われるようになりました。

結納を頂いたら、親戚やご近所に披露をして、
その際に昆布、スルメなど食べるものはお裾分けとして配ります。

このように結納は決して、しきたりだけの心ないものではありません。
おめでたい品ばかりを取りそろえて贈る、本当はとても気遣いのある、
心のこもった贅沢な贈り物なのです。

結納品の意味について十分理解した上で、たとえば、心を込めて選んだ婚約指輪と、
ビンテージもののワイン、それに合うチーズを結納にするなど、
今風にアレンジしても良いのではないでしょうか。